研究概要 |
異体類の中で最も原始的と考えられているボウズガレイに変態機構を解き明かすカギがあるとの考えのもとに,マレーシアサバ大学ボルネオ海洋研究所を拠点に,人工授精や仔稚魚飼育の基礎となる本種の産卵・成熟ならびに稚魚や未成魚の分布を調べた。生殖腺の形態学的ならびに組織学的観察より,本種の雄は体長29. 5cm未満,雌はそれ以上と雌雄により成長に顕著な差が見られ,コタキナバル湾周辺では周年産卵を行っていることが確認された。稚魚や未成魚は浅海域や水深30m以深の沖合域には生息せず,水深10~20m前後の水深帯に成育場があると推定された。比較対象種としたヒラメとホシガレイにおける発生学的解析より,個体発生初期過程におけるノダル回路の重要性と変態開始期における左右性決定遺伝子pitx2の再発現が眼位決定の鍵を握ることが明らかにされた。
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