海苔の多糖ポルフィラン、乳酸菌菌体とリポ多糖(LPS)によるマウス脾臓細胞での各種サイトカインの産生を検討した。マウスC3H/HeN(リポ多糖LPSに対する応答性が高い)系の脾臓細胞にポルフィラン(50μg/ml)、乳酸菌(10μg/ml)あるいはLPS(0.1μg/ml)を添加して、培養3日後の培養上清中の、細胞性免疫の指標であるマクロファージが産生するインターロイキン(IL)-12とヘルパーT細胞1型が産生するインターフェロン(IFN)-γ、体液性免疫の指標であるIL-4、ヘルパーT細胞17型が産生するIL-17とその産生細胞を分化・誘導するマクロファージが産生するIL-6、さらに、好中球の浸潤を誘導して細菌の貪食に関与するマクロファージが産生する腫瘍壊死因子(TNF-α)を酵素免疫測定法で定量した。検討したポルフィラン、乳酸菌とLPSはすべてIL-12、IFN-γ、IL-6とTNF-αの産生を増強した。IL-4産生に対しては、ポルフィランは24%、乳酸菌は54%、LPSは71%の抑制効果が認められた。また、IL-17産生に対しては、ポルフィランは1.7倍、乳酸菌は2.7倍の産生増強効果を示したが、LPSは90%の産生抑制を示した。IL-4の産生低下はヘルパー1型と2型の免疫バランスを1型つまり細胞性免疫の増強へと向かわせるので、相対的にアレルギーが抑制される。また、IL-17は、いくつかの自己免疫疾患の発症にも関与するが、健康な状態では好中球の浸潤を誘導し、炎症反応を起こさせ細菌に対する防御反応を行う。したがって、ポルフィランには乳酸菌と同様にアレルギー抑制効果と好中球による細菌に対する防御という免疫機能性があると考えられた。
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