海苔の色落ちは天候やその他の要因で発生するが商品とはならずほとんどが廃棄されている。これを有効利用するため海苔の細胞壁に多量に含まれる粘性のある酸性多糖であるポルフィランを効率的かつ短時間で調製した。精製ポルフィランの免疫細胞に与える影響をマウスのマクロファージ培養細胞(J774. 1)とリポ多糖(LPS)に対する応答性が高いC3H/ HeN系マウスの脾臓細胞で検討した結果、細胞性免疫を増強するサイトカインであるインターロイキン(IL)-12とンターフェロン-γの産生誘導が乳酸菌やLPSと同様に認められ、マクロファージ上のToll様受容体4を介してLPSと同様にIL-12の産生を増強していることが示唆された。また、腫瘍壊死因子あるいは過酸化水素で刺激したヒト腸管上皮様細胞株Caco-2細胞で産生増強される炎症性サイトカインであるIL-8の産生をポルフィランと乳酸菌は抑制し、経上皮電気抵抗値で測定した腸管のバリア損傷に対する抑制効果もポルフィランに認められた。以上のことから、食物として摂取している海苔中のポルフィランには細胞性免疫の賦活化作用と腸管細胞での抗炎症作用といった乳酸菌と同様な健康機能効果があると考えられた。
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