研究課題
基盤研究(C)
フグ毒(TTX)がトラフグ稚魚の中枢神経と行動に与える影響について検討を行った。まず、天然稚魚と人工種苗のフグ毒の組織内分布の比較を行った。抗TTXモノクローナル抗体を用いた免疫組織化学により、各組織のフグ毒の分布を精査した。その結果、天然稚魚の皮膚と肝臓からTTXを検出した。さらに、TTXが中枢神経、特に菱脳部、小脳、視神経および嗅上皮に存在することを初めて明らかにした。無毒の人工種苗に対して経口および筋肉注射によってTTXを投与したところ、いずれの投与法でも投与後少なくとも24時間以内にTTXの蓄積が見られ、天然稚魚と同じ組織中にフグ毒を検出した。無毒の人工種苗が新規環境に晒されると表層を遊泳し(boldness)、追尾行動(攻撃行動)が見られるのに対し、有毒天然稚魚は底層を遊泳し、追尾行動を示さなかった。TTXを投与した人工種苗は、新規環境に晒されると底層を遊泳し、噛み合いが有意に減少した。さらに、天然水域を模したメソコスムに放流すると、無毒の稚魚よりも被食が少なく、生残率の高いことが分かった。以上のことから、フグ毒はトラフグ稚魚の情動反応を制御するneuro-transmitterを修飾する分子として機能すると考えた。
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日本水産学会誌
巻: Vol.78、No.1 ページ: 93
Toxicon
巻: Vol.58, No.6-7 ページ: 565-569