研究概要 |
近年,宮崎県沿岸では熱帯産のウシエビが多く出現し始めた。これは温暖化の影響による海水温の上昇によるものと考えられる。宮崎県の河口付近でウシエビの稚エビが昨年採捕されたことから,宮崎県沿岸でのウシエビの産卵・孵化と定着化が進んでいる事が明らかとなった。ウシエビは,かつては東南アジアで主たる養殖対象エビであったが,3種類のウイルス(PRDV, YHV, IHHNV)の蔓延のため,大量に死亡し,養殖量は著しく減少した。そこで,宮崎県沿岸をはじめとする九州南部海域に出現するウシエビがこのような病原ウイルスを保有しているかどうかを早急に調査するために,ウイルスの高感度検出法を確立し,リスクマネージメントのための指針を策定する。ウシエビには,本種特有の病原ウイルスがある。日本では特定疾病とされているイエローヘッド病原因ウイルス(YHV)と伝染性皮下造血器壊死症原因ウイルス(IHHNV)が報告されている。平成21年度は,YHVおよびIHHNVの2種類のウイルスの保有状況とあわせてPRDVの保有率を調査するために,定量・高感度検出法(real-time loop-mediated isothermal amplification:定量LAMP法)用プライマーを開発し,極微量なウイルスを定量的に検出する方法を確立した。本法を用いて,日向灘から採捕されたウシエビを用いて,ウイルスの検出を試みた結果,これらのウイルスは検出されなかった。
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