(a) 日本海暫定水域での逸失漁具分布に関する調査 下関、浜田を基地とする底曳き網漁船を対象に入網漁具数等を記録すると共に、対馬、境港、香住で行われている曳き回し式逸失漁具回収具を用いた回収事業に乗船して被回収漁具数等を記録した。調査の実施過程で、両調査共に、全日本底曳き網漁業連合会と連携して、日本海沿岸全県の漁船による逸失漁具回収記録が得られることとなり、これをもって全漁船による操業記録体制の構築に替えることとし、資料の収集を行っている。 (b) かご漁具と筒漁具によるゴーストフィッシングの水中観察によるゴーストフィッシング死亡プロセスの解明 予定していたかご・筒漁具の代表として、かご漁具のゴーストフィッシング機能の時間的変化に関するフィールド実験と入りかご動物の行動、損傷、死亡に関する水中観察を終え、新たなモデル化が十分な段階に達しかつかご当たり死亡数を推定できる成果を得た。特に、単位逸失漁具当たりゴーストフィッシング死亡数に関する回帰式を、先にFAOに情報提供したものから改訂し、死亡数推定精度を大幅に向上させることができた。平成21年度末までに論文執筆をほぼ終え、近々に投稿予定である。 これらの結果、本研究の目的とした、日本海国際漁場における逸失漁具の分布と漁獲努力量の投入の解明のために、海上と陸上両面から得られる体制が整い、資料を収集中である。かご漁具によるゴーストフィッシング死亡数の推定精度向上に関しては、予定より前倒しで進行しており、本課題に関する統合的なモデルを提案する世界で初めての論文を完成することができる。
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