研究課題
ErythropoieinおよびKit ligand添加コロニーアッセイによるコイ赤血球前駆細胞の同定コイEpoおよびKit LのcDNAを発現ベクターpET-16bにそれぞれ連結し、大腸菌へ形質転換後、組換えタンパク質をNiアフィニティークロマトグラフィーにより精製した。コイの腎臓を始めとする各造血組織から造血細胞を回収し、それらを前述の組換え造血因子を添加した0,8%メチルセルロース半固形培地に播種し、培養を行った。結果:Epo存在下において腎臓造血細胞は大小2種類のコロニーを形成し、コロニー形成数はEpo濃度に依存した。大小2種類のコロニーはいずれも赤血球マーカー遺伝子を発現したことから、これらのコロニーは異なる分化段階の赤血球前駆細胞に由来すると考えられた。以上より、魚類においてもEpo依存性の赤血球造血が行われていることが明らかとなった。続いて、哺乳類では幹細胞因子とも呼ばれ、Epoと相乗的に赤血球前駆細胞の増殖を促すことが知られるKit Lのコイ腎臓造血細胞に対する効果について検討した。Kit L単独刺激ではコロニー形成はほとんど認められなかったが、Kit LとEpoの共刺激時には、Epo単独刺激時と比較してコロニー数が約4~5倍に増加した。形成されたコロニーはEpo単独刺激時に見られた大小2種類の赤血球コロニーに加え、第3のコロニーが認められた。このコロニーは赤血球マーカー遺伝子に加え、哺乳類の血小板に相当する栓球のマーカー遺伝子を発現していたことから、赤血球と栓球の共通前駆細胞に由来するコロニーであることが示唆された。以上より、Kit LはEpoとの併用により、赤血球前駆細胞に対する相乗効果を示すことが明らかとなり、さらに栓球系細胞に対する交叉活性を示すと考えられた。以上本培養系により、コイにおいて2種類の赤血球前駆細胞および赤血球と栓球の共通前駆細胞の存在が示唆された。
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