研究概要 |
平成22年度は,開発した「サンゴの蛍光蛋白質モニタリング装置」用いた実海域調査を中心に研究を実施した。 1.サンゴの蛍光蛋白質モニタリング装置の陸上試験 2010年4月~7月に,屋外水槽(独立行政法人水産総合研究センター横須賀庁舎)において装置の試験撮影を実施した(対象生物:イソギンチャク)。シャッタースピード,絞り,画角等の調整を行った。タイマー回路に不具合が見つかり修正に時間を要したが,陸上水槽内での蛍光撮影は成功した。 2.サンゴの蛍光蛋白質モニタリング装置の実海域試験 2010年8月,10月,2011年3月に,石西礁湖内の観測定点において装置の実海域試験を実施した。また併せて,装置近傍に超音波流速計を,装置架台に小型水温計と光量子計をそれぞれ設置し,流れ,水温,光の環境計測を実施した。 その結果,本装置により昼夜を問わず約25日間(1枚/1時間の連続的なサンゴの蛍光および通常画像の撮影に成功した(おそらく世界で初めて)。また,得られた画像を動画化することにより,サンゴのポリプの動きや巻貝によるサンゴの捕食の様子が併せて観察できた。さらに長期的な撮影を可能にするためには,バッテリーの補強が必要であることも確認できた。 3.取得画像・環境データの解析 取得された画像の解析方法を構築した。まず,得られた画像をRGBに分割しG(緑)の部分だけ抽出する。対象とした範囲の輝度情報を時間毎に抽出し,その値の変化をサンゴ自身の変動の指標と仮定した。画像の数値化および環境データの解析は継続的に進めている。 本研究で開発した「サンゴの蛍光蛋白質モニタリング装置」の概要を日本地球惑星科学連合2010年大会にて報告した。また,本装置によって得られた蛍光画像に関して,日本サンゴ礁学会第13回大会において発表した。これらの結果について,論文化を進めている。
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