研究概要 |
省力型の一人乗り漁船における作業甲板での作業研究を行う上で必要な分析手法を検討することを目的に、建網漁業及び小型機船底曳き網漁業従事漁船を対象に乗船調査を実施した。同調査において漁労作業に関する動作計測を行い,作業時間や作業姿勢,作業工程毎の動作の特徴について分析を行った。その結果,漁港を出港してから漁場での漁具操作,漁獲物処理,漁場移動,入港及び水揚げまでを繰り返す,いわば操業サイクル中,各工程は強固な順位性を持つとともに,海況や漁獲対象物の生態に対して対応する必要があるという特徴を明らかにした。 乗船調査を実施する中で、漁船の作業環境に関する測定に必要な船体動揺測定装置、GPS装置、画像解析装置の準備・調整を行った。船体動揺測定用センサーとデータロガーに必要な電源を、軽量型小型バッテリーから供給するとともに、甲板上で海水がかかっても動作等に影響しないように、水密を保つためのボックスに装置一式を収納出来るようにした。また調査対象漁船の洋上での位置情報を高精度で測定する上で必要なキネマティックGPSの測定精度と、船体動揺の測定精度への影響について把握するための実験分析を行った。 乗船実験及び作業分析を行う中で、安全性向上に向けた作業手順等の改善策を検討する上で、作業従事者の主観的な要素、すなわち各作業工程における状況判断や対応動作を行った理由等について、分析対象として取り入れていく必要性があり、平成22年度に実施する研究計画の中で明らかにしていく必要がある。また漁労作業の分析、船体動揺等の作業環境に関する測定データを基に、造船所や鉄鋼所と意見調整を行い、作業環境の改善に必要なデータ収集や分析結果の表現方法についても、今後検討を行う。
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