研究概要 |
沿岸小型漁船での一人乗り操業の安全性向上に関する、甲板上における漁労作業を対象とした作業研究の手法を開発するために、乗船実験を行った。同実験の対象として、下関市西方海域で操業を行う建網漁業従事漁船(Loa : 11.0m,総トン数:2.9ton)、及び長門市沖海域を漁場とする棒受網漁業従事漁船(Loa : 16.9m,総トン数:10.0ton)とし、漁港を出港後、漁場での操業、漁場移動及び帰港するまでの各作業内容に関するデータ収集を行った。特に漁場での操船及び漁具操作については、昨年度に小型漁船でデータ収集を行うために防水措置や軽量小型バッテリー仕様等、調整を行った船体動揺測定装置、GPS装置等の計測機器を用いてデータ収集を行った。 漁場で漁業生産活動を行うために漁船がどのように運用されているかを把握するために、携帯型GPSロガー(PGPS)を漁船の船首及び船尾に配置し、これら2つの受信機によりディファレンシャル方式で誤差を補正することで、漁労作業中の漁船の位置情報に加えて、船首方位の変化を高精度で把握することが出来ることを明らかにした。また、漁船上での漁具の動きと、作業甲板上での漁船の遠隔操作や漁具操作時の身体動作等について、画像データを基に分析を行うと共に、揚網、漁獲物処理、漁労器械、操船などの作業内容に関して作業工程表を作成した。そして、PGPSデータと画像データによる分析結果について同期をとることで、漁具や漁船、漁労器械の操作に伴う漁業従事者の動作と、同動作による漁具や漁船の動きの関連性について分析することができた。
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