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2011 年度 実績報告書

海洋アルカロイド、ラメラリンの分子作用機構に基づく新規抗ガン活性分子の設計と合成

研究課題

研究課題/領域番号 21580248
研究機関長崎大学

研究代表者

石橋 郁人  長崎大学, 水産・環境科学総合研究科, 教授 (10192486)

研究分担者 長富 潔  長崎大学, 水産・環境科学総合研究科, 教授 (40253702)
キーワードトポイソメラーゼI阻害 / 海洋天然物 / 分子設計 / ピロールアルカロイド / ラメラリン
研究概要

前年度までに、新規トポイソメラーゼ阻害物質であるイソラメラリンの合成に成功し、このものが培養がん細胞HeLaに対して親化合物ラメラリンを凌ぐ高い増殖阻害活性を示すことを明らかにした。本年度は対称性の候補分子ビスラクトン及びラクタム型のアザイソラメラリンの合成と生理活性の検討を行った。
ビスラクトンは、マレイン酸ジメチルとTosMICとの[3+2]双極子付加環化反応及び臭素化により調製した2,5-ジブロモピロール-3,4-ジカルボン酸エチルと4-イソプロポキシ-2-メトキシメトキシフェニルボロン酸エステルとのダブルSuzuki-Miyauraクロスカップリング反応を基盤として、全8工程通算収率17%で合成した。ビスラクトンのがん細胞(HeLa)及び正常細胞(Vero)に対する増殖阻害活性を調べたが、いずれの細胞に対しても100nM濃度でも顕著な活性を示さなかった。また、10μM濃度でトポイソメラーゼIに対する酵素阻害活性も認められなかった。活性が消失した理由は、(1)ビスラクトンとすることで分子全体の構造が変化し酵素の結合部位に適合しなくなったこと、あるいは、(2)接近した二つのカルボニル基を有しており、これらの非共有電子対の反発によりラクトン環が不安定で、生理的な環境下で加水分解され代謝されたことが考えられる。
イソラメラリンは生体内で加水分解される可能性があるラクトン環を有しているので、より安定なラクタム環に変換したアザイソラメラリンを合成し生理活性を調べた。アザイソラメラリンは、イソラメラリンの合成中間体2-プロモ-7-イソプロポキシ-1-メチル-8-メトキシ-1H-ベンゾ[g]インドール-3-カルボン酸メチルと4-ベンジルオキシ-2-tert-ブトキシカルボニルアミノフェニルボロン酸エステルとのSuzuki-Miyauraクロスカップリング反応、脱Boc化、ラクタム化、及び脱イソプロピル化反応により合成した。アザイソラメラリンのHeLa細胞に対する毒性をMTT法により調べたが、イソラメラリンの約1/3.5の活性しか示さなかった。この理由は、ラクタム部分が互変異性によりラクチム型へと変化しているためと考えられる。N-アルキル化等により互変異性化を防ぐことにより活性が増大する可能性がある。

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2012 2011 その他

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (3件) 備考 (1件) 産業財産権 (1件) (うち外国 1件)

  • [雑誌論文] Algicidal Activity of Glycerolipids from the Brown Alga Ishige sinicola on Red Tide Microalgae2012

    • 著者名/発表者名
      Shotaro Hirao, Kenji Tara, Kazuyoshi Kuwano, Junji Tanaka, Fumito Ishibashi
    • 雑誌名

      Bioscience, Biotechnology and Biochemistry

      巻: 76 ページ: 372-347

    • DOI

      10.1271/bbb.110645

    • 査読あり
  • [学会発表] 光学活性16-メチルラメラリンNの絶対配置の決定とプロテインキナーゼ阻害活性評価2012

    • 著者名/発表者名
      吉田賢佑、糸山諒介、福田勉、石橋郁人、岩尾正倫、Laurent Meijer
    • 学会等名
      日本化学会第92春季年会
    • 発表場所
      横浜
    • 年月日
      20120300
  • [学会発表] 海洋天然物ラメラリンをモデルとした新規トポイソメラーゼI阻害活性物質の創製2011

    • 著者名/発表者名
      福永光希、柱野彩、石橋郁人、岩尾正倫
    • 学会等名
      日本農芸化学会西日本支部・中国四国支部合同大会
    • 発表場所
      宮崎
    • 年月日
      20110900
  • [学会発表] Total Synthesis of the Marine Pyrrolocarbazole Alkaloid Dictyodendrin B2011

    • 著者名/発表者名
      S.Hirao, Y.Yoshinaga, M.Iwao, F.Ishibashi
    • 学会等名
      23^<rd> International Congress of Heterocyclic Chemistry
    • 発表場所
      英国、グラスゴー
    • 年月日
      2011-08-02
  • [備考]

    • URL

      http://www.fish.nagasaki-u.ac.jp/fish/kyoukan/isibasi/fi-j.html

  • [産業財産権] 抗癌活性化合物2012

    • 発明者名
      岩尾正倫, 石橋郁人, 福田勉, 長谷川寛雄
    • 権利者名
      国立大学法人長崎大学
    • 産業財産権番号
      特許、PCT/JP2012/50872
    • 出願年月日
      2012-01-17
    • 外国

URL: 

公開日: 2013-06-26  

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