研究概要 |
1.フライ、蒸しおよび焼きの調理方法が魚肉・畜肉の4-ヒドロキシアルケナール(魚肉では4-ヒドロキシヘキセナール:HHE,畜肉では4-ヒドロキシノネナール;HNE)およびマロンアルデヒド(MA)生成に及ぼす影響について検討した。魚肉に関しては宮崎県内での養殖事情によりタイおよびブリまたはカンパチを使用した。フライ:ブタにおいてHNE・MA含量は有意に増加した。タイとカンパチにおいてHHE・MA含量は有意に増加した。焼き:ブタでHNE含量は有意に増加したが,MA含量には有意な差は見られなかった。タイでHHE・MA含量は有意に増加した。カンパチでMA含量は有意に増加したがHHEには有意な差は認められなかった。蒸し:ブタでHNE含量は有意に増加したがMA含量には有意な差は認められなかった。カンパチでHHE・MDA含量は有意に増加した。脂肪酸含量の変化については各実験共に明確な差は認められなかった。 2.Feイオンの影響を調べる目的で,ヘミンとFe添加およびFeをキレートすると考えられるカテキンの添加実験を行った。ヘミンおよびFe添加により,ブタでHNE・MA含量が有意な増加傾向を示し,ブリおよびタイでHHE・MA含量が有意な増加傾向を示した。カンパチおよびタイ肉中のHHE・MA含量は、エピカテキンガレート添加によりその増加が抑制された。ブタ肉ではエピカテキンガレート添加によるHNE・MAの生成抑制は明確ではなかった。脂肪酸含量の変化については各実験共に明確な差は認められなかった。 3.以上の実験結果,特に調理実験結果から,魚肉と畜肉の4-ヒドロキシアルケナール生成の差に筋肉中の脂肪酸含量の差が関与している可能性が示唆された。
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