研究概要 |
1、アスコルビン酸添加が魚肉・畜肉の4-ヒドロキシアルケナール(魚肉では4-ヒドロキシヘキセナール:HHE,畜肉では4-ヒドロキシノネナール;HNE)およびマロンアルデヒド(MA)生成に及ぼす影響について検討した。アスコルビン酸添加はカンパチ肉中のHHE含量を減少させたが,タイ肉およびブタ肉ではHHEまたはHNE含量への影響は無かった。また、各食肉でアスコルビン酸添加はMA含量を増加させた。したがって、アスコルビン酸は脂質過酸化を促進させる面を持つことも考えられる。このことから、魚肉・畜肉をアスコルビン酸を豊富に含む食品と一緒に保存する際などには注意する必要があると思われる。 2、カンパチ、タイおよびブタ肉の脂質過酸化におよぼすFeイオンおよびヘミン添加の影響について検討した。魚肉のHHE量はヘモグロビン、ヘミン、Fe添加区では増加の傾向がみられた。ブタ肉のHNE量は時間の経過による目立った変化はみられなかった。魚肉においては特に7日目にMA含量が増加する傾向が見られた。ブタ肉においては脂質自体が魚肉より少なかったにもかかわらず、3日目以降MA含量の大きな増加が見られた。ヘミン添加によりカンパチ肉のHHE含量はcontrolの7日目に有意に増加している他は、すべての区間で有意差は見られなかった。ブタ肉においてはHNEはすべての区間で有意差は見られなかった。 3、電子レンジ加熱により魚肉および畜肉中のHHEおよびHNE含量の変動は認められなかった。 4、魚肉および畜肉中の多価不飽和脂肪酸量およびFe含量の違いや筋肉タンパク質に対するHHEおよびHNEの反応性の違い等が関与している事を示唆している。魚肉においてはHHEの生成を抑制するために、促進の要因の除去および抗酸化物の添加が効果的であることを示している。
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