研究概要 |
紅藻ハリガネAhnfeltiopsis paradoxaよりタウロピン脱水素酵素(TaDH)を精製し,酵素性状と部分アミノ酸配列を分析した.ハリガネTaDHは,分子量43,400の単量体構造を有し,等電点は5.7であった.最適反応pHは7.1(タウロピン合成反応)および8.5(タウロピン分解反応)付近に見られ,ミカエリスーメンテン型の反応様式に従った.基質による反応阻害はめられなかった.精製ハリガネTaDHについて,N末端アミノ酸配列(20残基)およびリシルエンドペプチダーゼ消化物の配列を解析した.アカバギンチンソウおよびツノマタからのTaDHの精製も試みたが,ハリガネに比べて精製酵素の収量が少なく,アミノ酸配列の解析までには至らなかった.ここで得られた部分アミノ酸配列情報はハリガネTaDHのcDNAクローニングを行うために必要なプライマーの作成に足るものである. 紅藻類のTaDH遺伝子が共生または寄生細菌由来である可能性を検討するために必要となるタウロピンの合成を行った.現在,目標としていた50gの合成を完了し,タウロピンをCN源とする選択培地を調製して海洋細菌のスクリーニングを進めている.ハリガネ付着細菌をスクリーニングした結果,タウロピンを利用する数株の分離に成功した.今後種の同定を進めるとともに,ハリガネTaDH・cDNAのクローニングを待って,TaDH遺伝子の存在を確認する予定である.
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