(1)精製ハリガネ・タウロピン脱水素酵素のN-末端アミノ酸配列およびリシルエンドペプチダーゼ消化断片ペプチドのアミノ酸配列情報より、cDNAクローニングのための縮重プライマーを設計した。また、藻体からの効率の良いmRNAの抽出・調製法についていくつかの方法を検討した。ハリガネは、粘質多糖含量の比較的少ない海藻種であるが、RNAの抽出は、他の海藻と同様に困難であった。LiCl沈殿法を併用するグアニジウム酸性フェノール法およびOligotex dT30を用いてmRNAの調製が可能であった。しかしながら、1^<st> strand cDNAを調製後、これを鋳型としてPCRを行ったが、cDNAの増幅は認められなかった。プライマーの設計およびmRNAの調製の両面から再検討の必要がある。 (2)タウロピン生産海藻藻体からのタウロピン資性化細菌の検索と単離・培養を進めた。昨年度、ハリガネから分離した菌株を3.11の震災の影響で失ってしまったため、再度、検索と分離培養を行った。本年度は、ハリガネ以外のタウロピン生産海藻を含めて検索対象とした。15株の単離培養を進めている。 (3)タウロピン以外のオピンの資性化を確認することを目的として、タウロピン以外のオピンの化学合成をおこなった。ストロンビン、アラノピン、β-アラノピン、オクトピンについて3~5gの合成を完了した。単離済みの細菌について、タウロピン以外のオピン類の資性化は、今のところ、認めていない。
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