平成22年度はフランス農業環境技術研究センター(CEMAGREF)クレールモンフェランセンター、および食品・動物衛生・農学・環境高等教育研究機構(VetAgro Sup)の研究協力により、有機農業をはじめとした地域環境との調和をはたす農業技術の普及にかかる人材育成のプログラムについて、調査検討を行うことができた。 他方、国内調査では福島県南相馬市K集落において、有機農業に取り組む集落営農のリーダーと生産組合構成に対するヒアリング、農家、非農家16歳以上の住民に対する集落の水田環境に関するアンケートを実施した。これに基づき、住民参加による水田環境保全の枠組み作りの作業開始の手はずが整えられた。VetAgroSupミシェル・ガスペラン研究員、カンボジア王立大学マリン・ネアン研究員を招聘し、K集落における調査を共同で実施するとともに、東京にて農林水産政策研究所の協力を得て、セミナー「農業がもたらす環境サービスのガバナンス~有機農業を素材とした国際比較~」を開催した。有機農業をはじめ、農薬、化学肥料の使用を避ける農法の普及には、農業者の関心喚起に加えて、集落の範囲、市町村の範囲における関心や理解の増幅が求められる点、共通の関心事項となった。
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