全農いばらきが出資をしている農業法人5社および全農いばらきの担当職員、研究協力者2名、筑波大学・大学院生の出席を得て、研究会を開催した。研究会では、経営概況、出資の状況、農業法人と全農いばらきとの事業連携の状況などが報告された。研究会により、以下の点が明らかになった。a.農業法人は他の法人だけでなく地域の兼業農家とも販売を中心にした連携を図っていること。b.経営の優位性は経営発る展と共に変化し、経営間連携の重要性は発展過程により異なること。c.全農が法人の販売力を活用した連携を図っている例もあり、課題としては与信の問題があること。d.全農の出資により販売・購買・情報・農地集積などにおいて法人がメリットを受けていること。e.地域の農協と大型法人の連携は難しく、全農いばらきとの方が可能性が大きいこと。f.農業法人と全農との事業連携において、全農による出資は有効であるが、まだその意義は未知数の部分を残していること。h.農業法人が地域農業の核となるような事業モデルの可能性があること、などの諸点である。研究会の内容については、5農業法人の経営展開図を調査により補強し、併せて公表することを予定している。また、日本の農業法人との比較を行うため、中国の農民専業合作社に対する出資の状況および、出資と事業連携の関係を調査し、学会報告を行った。調査は吉林省延辺地区で実施し、合作社の類型(農民主導型、関係機関主導型、龍頭企業主導型)により、出資者数や出資金のウエイトが異なり、a.付加議決権の行使、b.利用高配当割合の決定、などにより、合作社の利益配分や方向性の決定が異なってくることが明らかになった。この研究については論文として取りまとめ中である。
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