発展的な農業法人の特徴として、1、生産だけでなく加工や販売まで自らの事業として行う2、生産者間あるいは関連業者または消費者などと様々な連携を行う3、自ら新規就農者養成を行うなどが指摘できる。そのため、機械施設などに多額の投資が必要であり、多様なステークホルダーと共同で事業展開を行い、新規に育成した農業者を農業法人として独立させるなどの経営行動を実施する必要がある。このように農業法人は、自らの法人として、自己資本の充実と多様な人材の採用や育成が不可欠である。またさらに、他の農業法人に出資したり、新たな農業法人を設立するケースが増加してきている。農業法人と農協が、出資を通じて関係性を深めることは、販売面における互恵関係の構築や、農業法人が地域の信頼を得て農地拡大を行う際などにおいてメリットがある。このように出資は経営発展の手段であるが、それを実践している農業法人は、まだ少数派である。積極的な資本隊策の実施例としては、商社からの出資と人材を受け入れている事例がある。新規参入者を法人として独立させ、その際に融資をするが、その担保として出資をして議決権を確保するケースも見られた。また、仲卸業者と共同で出資し、流通会社を設立するケースや、外食産業と共同で出資して、外食産業用の野菜を生産する事例なども見られた。出資を受ける場合、農業法人の収益性は高くないので、出資配当まで行っている農業法人は少なかった。アグリビジネス投資会社からの出資を受け入れている農業法人は多いが、自己資本の増強以上の意味がある事例は少ない。いずれにしても、事業連携と出資政策は、農業法人の今後の課題として重要であり、様々な取り組みが開始された段階であることが明らかになった。
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