本研究は地域農業が抱える食料供給力の強化、そのための新規就農者の確保と人材育成という問題に効果的に対応できる教育システムを構築するため、農家家族を対象としたカウンセリングの実践を、国と各都道府県が協同で組織している農業普及事業と連携しながら推し進め、その活動の成果をもとに農家家族カウンセリングの教材を開発することを目的としている。 本年度は研究計画に基づいて、国内調査では秋田県、栃木県において農業普及事業との連携組織の立ち上げを図った。この活動が認められて全国新規就農センターから農業者の人材育成の教材開発の依頼があり、調査に基づいてテキスト、映像教材などの開発に携わった。これらの教材は、平成22年度以降に全国の農業法人等において人材育成用に用いられる予定である。 海外調査においては、イタリアのスローフード運動におけるユースプログラムの実態を調査し、それをとりまとめているところであり、人材育成においてユースプログラムの重要性が認識された。加えて、昨年度は従来から取り組んできたアメリカ農業の教育システムに関する著作を出版することができ、本年度に予定しているアメリカ調査に大きな進展を期待できるに至った。 以上の研究成果は、日本農業の成長においてキィファクターとなる人材育成について、幅広い視点からその課題を整理し、さらに研究の応用、実践に向けた取り組みに発展していることを示しており、本研究計画は着実に進展していると評価している。
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