本研究は地域農業が抱える食料供給力の強化、そのための新規就農者の確保と人材育成という問題に効果的に対応できる教育システムを構築するため、農家家族を対象としたカウンセリングの実践を、国と各都道府県が協同で組織している農業普及事業と連携しながら推し進め、その活動の成果をもとに農家家族カウンセリングの教材を開発することを目的としている。 本年度は研究期間の最終年度に当たり、研究のとりまとめに向けた活動に取り組んだ。国内調査では前年に引き続き、秋田県において農業普及指導員のインタビュー調査を実施し、その普及教育の効果分析を行った。さらに、これまでの研究成果を教材開発に結びつけ、それらを実際に農業者対象の人材セミナーを開催して、その場で利用することによって、教材の効果分析、修正を行った。セミナーにおいては、外部の専門家の協力を得て、ワークショップにおけるファシリテーション、アクションラーニング原則など参加型研修スタイルの新たな理論とツールを大胆に導入した結果、たいへんに興味深く刺激的な成果を達成することができた。セミナーはすべて映像記録として残されており、現在映像教材を作成中である。 海外調査においては、イタリアにおいて世界農業遺産とそれを利用した食育活動のユースプログラムの実態について、現地調査を実施した。これらの調査結果は、教材開発のなかのトピックス、あるいはコラムとして、とくにロジカルシンキングのツール事例に適用した。
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