本年度は、主に瀬戸内海沿岸漁獲物の消費分析と地域内流通構造分析を行った。具体的な内容は以下のとおりである。 1.(瀬戸内海沿岸漁獲物の消費分析1)平成21年度に行った基礎アンケートを基に、ネットアンケート調査によって対象者を全国に拡大し、他地域における主な瀬戸内海沿岸漁獲物の消費傾向とその規定要因の分析を行った。その結果、他地域消費者の魚介類全体に対する消費離れと瀬戸内海沿岸漁獲物についての無関心や認識機会の不足が明らかとなった。そのため、瀬戸内海沿岸漁獲物の需要拡大には、地域内(地場)消費の拡大が当面の検討課題となることが指摘できた。 2.(瀬戸内海沿岸漁獲物の消費分析2)漁獲物単体での需要増大の限界性から、料理や他の地域農産物との組み合わせの中で需要拡大を検討した。広島県を事例に生産量全国1位のレモンとカキの組み合わせ販売を地域事業者とともに検討、試行した。 3.(地域内流通構造分析)広島県を事例に、地域内における地場産漁獲物の流通構造の特徴と課題を明らかにするための調査を行った。広島県は青果物においてメッセンと呼ばれる特徴的な地域集荷業者が存在するため、その機能や役割を参考に漁獲物の地域内流通について検討した。その結果「仲買人」と呼ばれる地域集荷業者が存在することが明らかとなったが、地域性や歴史性の問題から実態や機能の分析には至らなかった。
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