研究概要 |
本研究では、日本を含む複数の国での選択実験を通じて、消費者意識と購買行動の関連における「国産農産物への信頼」を比較し、そこから日本の消費者の「特殊性」について、その有無を含めて、定量的に分析することを目的としている。平成21年度の作業内容は大きく、(1)既存研究の調査内容の国際比較に向けた再検討と調査票の仮設計、(2)現地での市場調査、(3)関連研究の情報収集、の3点であった。 このうち、(1)については研究代表者がこれまでに行った研究を中心に、既存研究の調査票とデータを分析して、国際比較に向けた検討をおこなった。日本と比較対象とする国の選定については、韓国・中国・台湾の3力国を候補とし、検討を進めた。本研究の目的からは、できる限り各国で条件の均一な対象財を設定することが望ましく、当初は牛肉と米を念頭においていた。だが、市場調査では、多くの条件の違いが明らかになった。来年度におこなうアンケートで、条件の違いをいかにコントロールするかが現状での課題となっている。特に、国産品の品質についての認識に、当初の想定以上のばらつきがあると思われるため、何らかの仮想的な条件付けの上でアンケート調査をおこなうことを考えている。(2)については、上述のように、韓国・中国・台湾のそれぞれの首都を調査対象候補地として、各地で市場調査を行い、財の属性や価格設定についての情報を収拾した。(3)については、IAAE(国債農業経済学会)北京大会に参加して、国際的な研究動向を把握するとともに、関連文献の収集と読み込みを続けている。 なお、本研究の連携研究者として、(独)農業・食品産業技術総合研究機構,農村工学研究所の合崎英男氏に参加してもらうこととし、台湾での市場調査にも同行してもらった。
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