本研究では、日本を含む複数の国での選択実験を通じて、消費者意識と購買行動の関連における「国産農産物への信頼」を比較し、そこから日本の消費者の「特殊性」について、その有無を含めて、定量的に分析することを目的としている。 平成22年度の作業内容は大きく、調査票の作成・検討と翻訳と、本調査の実施であった。しかし、調査予定地の一つであった韓国での口蹄疫の蔓延により、平成22年度の予定は順延せざるを得なくなり、半年の繰越しを申請して認めていただいた。 本年度の作業内容のうち調査票については、平成21年度の市場調査結果に既存研究の知見を加えて検討を進めて、内容を確定した。調査の対象地域については、検討の結果、韓国(ソウル)、中国(北京)、日本(大阪)の三都市とすることとし、選択実験の対象財は牛肉とした。日本の調査地は東京を予定していたが、大震災後の放射能汚染問題の影響を抑えるため、比較的影響の小さかった大阪を代替地とした。 調査方法はインターネット調査を用いることが最善と判断した。国際比較アンケート調査を行う方法は他にもあるが、現在最もコスト節約的な方法はインターネットリサーチだと考えられる。本調査は平成23年9月、株式会社マクロミルに、上記3カ国で各600名のアンケート調査を委託した。調査票の翻訳もマクロミルに委託した。ただし、韓国語版の調査票については韓国人の農業経済学研究者に、中国語版の調査票については中国語に堪能な日本人研究者にそれぞれチェックしてもらった。調査で得られたデータの分析は、平成23年度におこなう。
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