研究課題/領域番号 |
21580278
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研究機関 | 東京情報大学 |
研究代表者 |
新沼 勝利 東京情報大学, 総合情報学部, 教授 (60078160)
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研究分担者 |
武井 敦夫 東京情報大学, 総合情報学部, 教授 (10245300)
井形 雅代 東京農業大学, 国際食料情報学部, 准教授 (10231127)
大室 健治 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構・中央農業総合研究センター, 研究員 (70455301)
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キーワード | 活動基準管理 / ABM / 活動基準原価計算 / ABC |
研究概要 |
本年度は、農場経営へのABMの適応可能性を検討するに際して、(1)経営形態別に、(2)どういった経営局面において、(3)いかなる条件が整うことにより、その適応可能性が高まるかを検討した。 まず、複数の農家経営が集まって機械・施設の共同利用を行う営農集団等では、全ての事業を対象とするのではなく、経営者がその必要性を認識するとともに必要なデータが容易に収集できる事業を選定した上でABMを導入することが望ましい。北海道網走市のA畑作営農集団では、機械の共同利用事業だけでなく、共同畑からの収益還元を目的とした事業も行っているが、特に後者では活動のムダを排除するための継続的な改善が求められ、さらに集団内部の構成員へは事業結果の説明責任を果たす必要がある。そのため、諸活動の結果が一定の形式を持つ日報により記録されており、こういった条件下においてはABMの適応可能性は高まるものと考えられた。 他方、単一の個別農家経営では、部分最適よりも全体最適が求められることから、高度ではなくとも経営全体の活動を対象としたABMが必要となる。北海道岩見沢市の露地野菜作経営であるB法人では、直接販売のために冷却施設を保有しており、そこでは、圃場ベースの生産原価だけでなく販売ベースの総原価(生産原価+販管費)の両方を合理化するために、ABMを適用する必要がある。しかし、記帳能力に限界があるため、諸活動データの粗さは否めない。こういった事例では、適応の初期段階において粗野なABMであったとしても、ABM自体を継続的に改善し続けていくことにより、経営の諸活動における重複を避け効率的な活動を行うことができるような適応性の高いABMを構築できる可能性が示唆された。 なお、これらの調査事例におけるABMの具体的な導入効果の検討については、次年度以降に取り組む予定である。
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