本年度は、農水省編「平成20年度耕作放棄地全体調査(耕作放棄地に関する現地調査)の結果について」(以下、「2008年全体調査」)と、農水省編「平成21年度の荒廃した耕作放棄地の状況調査の結果について」、以下「2009年状況調査」)、さらには2010年農業センサス等を中心に「2008年全体調査」では、28.4万haが対象とされ、2005年センサスでみれば、38.6万haという耕作放棄地のなかの一部ということになる。「2008年全体調査」では森林化・原野化した4.7万haは今回の「緑」、「黄」および「赤」という色分けのうち、「赤」部分に含まれていると推計している。 「赤」は、「復元困難な非農地」と判断を保留した「判断未了の農地」とに分類している。農業委員会により「非農地」と判断されるものは、農用地区域から除外されたものであり、森林・原野等、非農業的に活用されていくことになる。「赤(判断未了)」とは、農地に復元することが不可能であるものの、「非農地」とは判断できず当該判断が未了ということになる。 放棄地解消対策に関して、農水省は当面10万haの耕作放棄地解消に乗り出すこととした。ここでの「2008年全体調査」に係る農地は、(1)休耕地20万ha(耕作意思あり)、(2)休耕地以外の不作付けの耕地19万haは、ともに「現状では耕作可能な土地」である。「2008年全体調査」では、28.7万haの耕作放棄地のうち、3.0万ha増加したことから、「2009年状況調査」では、「農地として利用すべき耕作放棄地」(緑+黄)は15.1万haであり、「農地に復元して利用することが不可能と見込まれる」、つまり「赤(判断未了)は1.6万haの減少をみている。農業委員会が現地調査において「赤」(森林・原野化している等、農地に復元して利用することが不可能な土地)に該当すると考えられた耕作放棄地であっても農業委員会が「農地」に該当する耕作放棄地については「黄」または「緑」に振り分けた上で解消計画を策定するとしてそれらの分析・解明に努めた。
|