本年度の現地調査をさらに踏まえるのと、耕作放棄地に関する統計的分析をさらに試みてきた。耕作放棄地発生メカニズムはさまざまあろうが、耕作放棄地は耕地面積から次々と外れていき、その都度、耕地面積を減少させ、統計から外れた耕作放棄地が膨大な数値となって各地に大量に滞留している実態を統計的に処理するのに勢力き集中している。後継者不在と担い手高齢化が進行し、条件不利性の増大のもとで、耕作放棄地対策が鳥獣害対策とが平行して進行しつつ、土地利用も一部集約化、一部粗放化、畜産的利用の拡大などが進行しつつある。耕作放棄地増大と鳥獣害増加を受けて、多くの地域で活路が見出せない。一部粗放化、一部集約化による所得極大化の結果として、面積消化できる省力作物できる耕種作物と飼料作物生産の比重増大と野菜生産など集約化のいっそうの拡大傾向がみられる。輪作体系や地力維持が今後も果たされるか。外部化・システム化による個別展開の限界を回避。法人等による家族経営の農地吸収力減退をカバーする構造にある。経営規模が大規模化されるほど、耕作放棄地が増大するのか。 府県では、農業経営を資産管理業と性格づけられ、最終的には地代ゼロの使用貸借関係か、逆に地主が借り手に農地管理料の負担や出役を義務化することさえ発生しはじめている。「所有と利用との一体化」を図った戦後の自作化政策の結果が、39万haに及ぶ耕作放棄地発生を助長する一端にもなり、抜本的な農地対策の転換が必要な時期を迎えつつある。機械化一貫体系による土地利用の効率化・大規模化にともない利用集積もまた進行せざるを得ない。大量の土地持ち非農家化や後継者不在、高齢農家の大量賦存などによって、一方で農地集積を可能とし地域的に大規模借地経営が展開する契機ともなっている。全国の地域的耕作放棄地の存在状況を立体的・構造的にさらに分析を深めていくことにする
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