経営類型による比較分析では、水稲作など土地利用型よりも園芸作など集約型で女性の位置づけが明確であり、責任分担が多く見られ、その結果として経営の多角化が晋傾向が見られたが、経営類型以上に、家族関係、特に経営主世代の夫婦関係がフラットか否かにより、女性の位置付けの明確化や責任分担が見られ、経営の多角化が進むことがわかった。 家族関係の近代化と経営発展に関する公的支援については、主として農村女性対策のセクションで取り組まれてきたが、特に、1992年に農林水産省において農山漁村に関する中長期ビジョンが策定され、女性が農業・農業の担い手として農政で位置付けられ、家族経営協定の推進などにより女性の位置づけの明確化や経営参画などが進められるようになって本格化したといえる。そうした中で、家族経営協定の推進は専業的家族の烏業経営の家族関係の近代化と経営発展に寄与してきたといえる。しかし、家族経営協定の普及は先進的農業経営にとどまる傾向があり、また、家族経営協定の推進による効果の測定が難しいことなどの問題点を抱えていることが明らかになった。 韓国においては、日本同様、農村女性対策のセクションで家族関係の近代化と経営発展に関する公的支援について取り組まれてきた。そうした中で、家族経営協定の推進も実施されているが、それ以上に、6次産業化など、加工・販売や農業・農村体験などの農業経営への組み込みによる経営多角化の推進の中で、多角化部門の新たな担い手として女性を位置付け、そうした中で女性の位置づけの明確化や家族関係の近代化が推進されており、注目に値するといえる。
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