研究課題/領域番号 |
21580288
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研究機関 | 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構 |
研究代表者 |
平野 信之 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構, 中央農業総合研究センター・農業経営研究チーム, チーム長 (10355464)
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研究分担者 |
梅本 雅 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構, 中央農業総合研究センター, 研究管理監 (20370520)
細山 隆夫 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構, 北海道農業研究センター・北海道農業経営研究チーム, 主任研究員 (50526944)
新田 義修 岩手県立大学, 総合政策学部, 講師 (80455534)
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キーワード | 大規模経営 / 借地選好 / 面的集積 |
研究概要 |
面的集積の先進事例として静岡県のO町(現K市)の取り組みを調査した。同町では、農地流動化が低い段階にあった1975年(当時の借地面積率は7.7%)から、町内の水田作の担い手を全町単一の組織である受託組合に組織し、農協、役場、受託組合員等からなる利用調整会議が調整主体となって、組合員相互の調整を踏まえて借地が分散・錯綜しないように配慮しつつ、貸借契約を結んでいくという方式(付加的集積方式)をとってきた。これにより、耕作水田のブロック化や耕作圃場の連担団地化も進んだ。5a区画という圃場条件下にありながら、耕作者は地権者の承諾を得た上で連担化した圃場の畦抜きを実施することにより、数十aの大区画への改良も進展している。こうした取り組みの中で、15戸の組合員の借入水田(利用権設定による)面積の合計は、2002年の76.4haから2009年には124ha(8.8ha/1戸平均、最高29.9ha)にまで増加している。 借地選好について、新潟県上越市三和地区でプレ調査を実施した。同地区では、大区画圃場整備がほぼ完了し、1ha圃場条件での農地集積が行われていることから、「自宅からの距離」、「連担化の状況」、「区画のサイズ」の3要素から区画サイズを除外し、他の要素(排水条件)を入れ込んだ選択実験の設計を行い、約20戸の大規模水田作経営のデータを得た。ただし、先に調査した滋賀、静岡に比べて、調査対象農家の経営耕地規模が相対的に小さく、現状での耕地分散の深刻度も低かった。そのため借地拡大の際に、面的集積に関わる事項よりも収量や地代等の項目を重視する傾向も強く、このことが借地選好に与える影響についてさらに分析を深める必要がある。
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