カドミウム汚染地の水田より採取した土を用い、成層水田模型用の鉄箱を10個作製し、スキ床層及び心土層の浸透型を開放浸透、閉鎖浸透に変えることにより、汚染土層からのカドミウムの吸収の変化を検討した。なお、模型は常時湛水条件で、かつ模型に用いた土は、汚染土約3mg/kgの濃度の水田から採取した。 各鉄箱には、約4葉の苗(品種:つがるうまん)を15本移植し、元肥のみの施肥とし、その生育収量の調査を行った。10月上旬に収穫後、玄米、茎葉、根のカドミウム含有量を分析した。土層内の酸化還元環境は、酸化還元電位測定センサを深度別にセットし、汚染土の環境を明確にしつつ実験を行った。 その結果、汚染土層が開放浸透層では酸化層に、閉鎖浸透層では還元層になることを確認しつつ実験できた。生育は、開放浸透模型が閉鎖浸透模型に比べ、有意に低下する(5%)傾向が認められた。収量については、玄米千粒重などに傾向が認められなかった。玄米中のカドミウム濃度は、開放浸透層を持つ模型の値が高くなる傾向が確認された。茎葉についても同様の傾向が認められた。根の値は、開放浸透層中の根が閉鎖浸透層中の含有量に比べ、高まる傾向の値が得られた。 濃度の高いと思われる風成土の土の分析をしたが、3mg/kg前後であまり高い値とはならなかった。また、違う地区の水成土からなる汚染水田土のカドミウム濃度を分析したが1.5mg/kg前後となり、カドミウムの濃度の高い汚染値の土を用いた実験は、今後の課題となった。
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