研究概要 |
鉾田川上流域の4試験圃場を対象に試験を行った。当初5圃場であったが平成21年8月の通称ゲリラ豪雨災害を受けた1圃場の復旧ができなくなり4圃場での試験となった。この中で水田IV、V区は自動採水器、時期水位計、自記温度計等を設置した綿密測定を行った。水田Vにはつづら折り用の畦波シートを設置し測定を行った。水田IIは、平成22年末で土地改良区の都合で試験続行ができなくなったが、充分なデータ蓄積が行えた。水田IIIは生活排水系が主流の圃場であったが滞留時間が他より長いため比較するデータが蓄積できた。平成22年の差引排出負荷量(kg・ha^<-1>・y^<-1>)の結果は、水田II、III、IV、Vの順でTN:-556,-755,-1,838,-737、TP:+8.2,-63.4,-27.7,-20.7、SS:1,164,527,-1,696,-1,520、COD:+637,-366,667,178となった。TNは全て吸収型、TPは水田II以外が吸収型、SSは水田IV、Vが吸収型、CODは水田IIIだけが吸収型となった。TNの差引排出負荷量の大小差は、流入濃度と流入水量、気温、短絡路の有無が考えられる。今回の水田は湛水深を20cm~30cmと一般の水田より深くし短絡路を減らす工夫をしている。水田IVはつづら折りをしていないが、水深の効果が出ているのであれば、畦波シートのつづら折りを利用しなくても十分な窒素除去効果が見込める結果となった。平成23年度は、平成22年度の負荷量、水深、水温データを利用しモデル解析を行い、この効果を検証できると考えている。また、水田IIIの滞留時間が他と比較して長いので、滞留時間の効果も比較できると考えている。
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