pHや塩濃度などの物理化学的条件によって自己相似フロックの界面沈降速度がどのように変化するかを詳細に調べ、新たに提案した透水理論に基づいて解析を行い、フロック体積と沈降速度との関係について重要な知見を得た。試料として有機物処理を行ったカオリナイト(入来カオリン)を用い、塩濃度・pHを変化させた懸濁液を作製した。高さ300mmの沈降管を用い、懸濁液の初期高さを120~300mmの間で5段階に変化させて、読取顕微鏡によって1/100mmの精度で界面沈降速度を測定した。得られた結果は、以下の通りである。 懸濁液の初期高さと界面沈降速度との関係を解析し、透水係数kと圧縮降伏応力σ_yを算定した。得られたkとσ_yは、測定されたフロック体積分率φ_fと関連付けられた。すなわち、圧縮降伏応力の発生するのはフロックの体積分率φ_fが02以上であり、ここでネットワークが発生する。一方、φ_fが0.2以下の時、自己相似構造を持つフロック懸濁液の透水係数kは、フロックがフラクタル次元Dの自己相似構造を持つと仮定して、フロック内部を水が通らないとしたKozeny-Carmanの透水理論で表わされる。しかしながら、フロックの体積分率φ_fが0.2を越えると、透水係数の急激な増加が見られることから、ネットワーク構造が形成されると、従来の界面沈降速度式が使えないことがわかった
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