研究概要 |
本年度の研究において,面的土壌水分量測定用に使用する,電磁プローブに隣接するアース用プローブを共用して複数個のTDRプローブが連続的に装備された構造を持つ多線式プローブの開発を行った。ここで,単位プローブの長さは1.0mとした。まず,基礎実験として,多線式プローブの最小単位である,1.0mの感知部長を持つ3線式プローブ(ロッド間隔0.1m,直径5mm)を自作し,その特性を調べた。 蒸留水を混合して体積含水率(θ)を調整した砂(粒径0.15~0.6mm)を,縦0.42m,横1.07m,高さ0.17mの木箱に高さ0.10mまで充填し,その中間の高さに1m長プローブを水平に埋設した。マルチプレクサー(SDMX50,Campbell Scientific社)を介してプローブをケーブルテスター(TDR100,Campbell Scientific社)に接続し,波形解析ソフトウェア・PCTDR(Campbell Scientific社)を利用してTDR波形の取得・解析を実施することにより,砂の比誘電率(ε)とバルクEC(σ_b)を決定した。また,溶液EC(σ_w)の異なるCaCl2溶液(0.10,020Sm^<-1>)と混合した砂に対しても,同一手順でεとσbの計測を反復することにより,異なる水分・電気伝導度条件における値を検証した。 多線式プローブのロッド間隔・直径が3線式プローブのそれと一致する場合には,両者は類似したセンサー特性を示すと考えられ,本実験結果より,1m長プローブの多線式化を図り,適切な計測条件を選定すれば,既存のシステムを利用して縦1m×横1mの面的なθ・σ_bの自動計測は,十分に可能であることが証明された。
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