研究概要 |
地表面排水の圃場外流出を抑制する赤土流出防止対策として,ウッドチップを充填した浸透トレンチを用いる土中排水法を考案した.本研究では,土中排水法の効果の実証および実用化のための最適な配置形態の検討を目的とする.本年度の主な研究実績は試験地の造成および試験地造成後に実施された土中排水法の効果の検証である.具体的な研究実績は以下のとおりである. 1. 琉球大学付属フィールド科学センターの農場内に試験地を造成した.試験地は斜面長30m,斜面幅1mおよび斜面傾斜4.5%の斜面6つから成る.試験区として,5つの斜面にウッドチップを充填した浸透トレンチを設置した.のこりひとつの斜面には浸透トレンチを設置せず,この斜面を対照区とした.試験区と対照区の末端にタンクを設置して,降雨時の表面懸濁排水を回収できるようにした.浸透トレンチとタンクに水位計を取り付けて,降雨時の水位変動を連続計測した.以上のように造成した試験地を自然降雨下での実験に供試した.なお,当初計画では斜面にサツマイモを栽培して実験に供試する予定であったが,試験地の造成に時間がかかったため,サツマイモの栽培を断念した.裸地状態での実験を実施して,初期条件的な実験データを得ることとした. 2. 試験地完成直後の2009年12月下旬以降から実験データを得ることができた.その結果,試験区の地表排水量や土砂流出量は対照区より小さく,ウッドチップを充填した浸透トレンチの効果を実証することができた.また,複数箇所に小容量ずつ配置した方が効果が高いことがわかった. 3. 実験データを用いて水分動態モデルを改良し,浸透トレンチ内の水位変動をモデルで再現した.試験地は地下水位が高いことが特徴で,水分動態モデルに地下水位の影響を取り入れることが今後の課題となった.
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