研究概要 |
1 平成21年度に作成した実験装置について,塩分濃度センサーの形状を検討し,支持用のアクリル棒にステンレス線を貫通させ1cm露出する形態とし,ステンレス線の間隔を1cm,7本を一組とした.このセンサー60組を深さ50cm程度の小型容器に入れ,豊浦標準砂を充填し,塩分濃度を0~3%に調整した塩水を浸透させ,抵抗値と塩分濃度との関係を求めた.抵抗値は砂の密度が時間の経過によって大きくなるためドリフトしたが,概ね12時間後には安定したので,その時の値を採用した. 2 平成21年度にモデル調査地として設定した沖縄県多良間島に加え,より地球温暖化の影響を受けやすい淡水レンズ賦存地域であるマーシャル諸島共和国マジュロ環礁ローラ島を新たにモデル調査地に選定し,電磁探査法により島内の淡水レンズ分布形態を調査した.200mS/m以下の淡水厚は島の中央部で10m近くに達していたが,その形状はラグーン側で厚く,外洋側で薄かった.これは地盤の透水性の不均一性によるものと考えられた. 3 モデル調査地(多良間島)における淡水レンズ賦存状況のモデル化に着手した.平成21年度に収集した多良間島についての水理地質資料をデータ化し,アメリカ地質調査所のSEAWAT2000によって縦20×横20×深さ10メッシュ区分の三次元モデルを作成した. 4 平成21年度及び22年度で得られた研究成果を,地盤工学会誌,農村工学研究所技報および農業農村工学会論文集に投稿するとともに,マーシャル諸島共和国の行政機関と開催したセミナーにおいて,ローラ島における調査結果を発表した.
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