研究概要 |
1.平成22年度に作成した塩分濃度センサーを用い,模擬帯水層・降雨発生装置・潮汐発生装置による淡水レンズ再現実験を行い,潮汐による淡水レンズ形状の変化を測定した.その結果,潮汐の影響の及ぶ範囲は海面上昇分の2~3.3倍程度であることが明らかになった. 2.平成22年度にモデル調査地として設定したマーシャル諸島共和国マジュロ環礁ローラ島において電気伝導度測定装置等を用いた塩淡境界測定,水中モーターポンプを用いた揚水試験等を行った.その結果,ローラ島の淡水レンズ賦存量は概ね200万m^3であること,地表付近の透水性は非常に高いことが明らかになった. 3.モデル調査地(多良間島)における淡水レンズ賦存状況を模したモデルを作成した.モデルは前年度作成したモデルを拡張し,多良間島を含む約14km×14kmの平面領域を100m~200mのグリッドに分割し,さらに鉛直方向に18層に分割した.また温度上昇により透水係数が変化した場合の淡水レンズ厚の変化を計算した結果,温度上昇により透水係数が50%大きくなると,淡水レンズの厚さは約18%減少した. 4.研究期間中に得られた研究成果が農業農村工学会論文集に掲載されるとともに,複数の物理探査手法を用いた島嶼部における淡水レンズ調査法を取りまとめ,農村工学研究所研究成果情報として公表した.さらにマーシャル諸島共和国において現地行政機関(資源開発省および環境保護局)等とThe Senminar on the Conservation and Management of the Fresh Water Lensと題するセミナーを開催し,研究成果の説明を行うとともに,現地担当者と持続的な淡水レンズ水資源利用について意見交換した.
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