本研究の目的は、(1)自然光利用の温室(以下、温室システムと呼ぶ)に関する光利用効率などと閉鎖型システムのそれらの効率を比較し、その比較により、(2)苗生産・葉もの生産に関しでは、「閉鎖型システムは、高品質で安全な生産物が安定的に低コスト・省スペース・省力的に得られるだけでなく、閉鎖型システムの方が温室システムより省資源的かつ環境保全的であり、閉鎖型システムで必要となる照明と空調に必要な電気エネルギーは、苗当たり400kJ(キロ・ジュール)程度であり、エネルギー・物質収支から見ればわずかである」との申請者の仮説を多面的に検証することであり、また既存文献からでは得られないデータは、実験と理論的考察により求めることであった。 上述の光利用効率を、光-光合成曲線の低光強度部分における直線勾配から得られる、光利用効率の理論的最大値と比較して、現実の光利用効率と理想的環境条件における光利用効率の差異をもたらす原因の中から改善可能な環境改善・栽培システム改善を考察した。上記の考察から、自然光温室における環境制御の新しい方法を提案し、米国、カナダ、中国および日本のシンポジウムなどにおいて公表した。
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