研究概要 |
1.色と模様を組み合わせた物理的防除システム 6色(赤、緑、青、黒、金、銀)の●型シール(φ15)を使用し、黄色粘着シート(ホリバー社製100mm×257mm)に3×5列の等間隔の模様を施したもの、模様と同じ位置にφ6の穴を開けたものを試作した。これらに対照区を加えて、愛媛大学内植物工場(1,300m^2)に設置し、害虫の誘引数の経時変化を調べた結果、設置3週間後の誘引数は、対照区と比べて全ての色で多くなった。特にφ6穴付きと黒色において優位な差が認められた。1週間毎の誘引数の推移でも同様な傾向が見られた。しかし、3週間以降ではほぼ差が認められなくなった。このことから、粘着シートに模様を施すことによって、誘引効果に即効性を持たせることができると考えられた。 また、虫の可視領域を考慮した500~650nmの範囲において、各色と黄色粘着シートの分光反射率のグラフから積分値を求め、これらの積分値の比率と誘引数との相関を求めた。その結果、反射率の差異が大きい程、誘引数が多くなる傾向が見られたことから、少なくとも設置後3週間の時点では黄色粘着シートと模様のコントラストが誘引数を増減する要素であると考えられた。 2,音波を利用した物理的防除システム 害虫の活動抑制、飛来防止に効果的な周波数帯を明らかにするため、まず害虫の天敵となる肉食性のハチ(フタモンアシナガバチ、キイロアシナガバチ、ツマアカベッコウ)の羽音の解析を行った。これらのハチに共通する特徴として、300、3kHz付近に大きいピークと、5kHz以降に細かいピークが見られた。この結果を用いて、クロバネキノコバエに対して音波(100Hz~40kHz)の照射実験を行った結果、どの波長域にも反応は見られなかった。現在、他の害虫での反応試験を実施中である。 なお、本研究は日本生物環境工学会2011年大会において優秀ポスター賞を受賞した。
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