研究概要 |
本研究の目的は、現在の線虫防除に使用されている化学農薬の問題点を解決するために線虫防除法の代替技術を開発することである。特に、数種類の植物エッセンスの線虫への作用特性を解明し,「環境に優しく,人畜無害で,土壌残留性のない線虫防除法技術を確立」することである。本年度は、ユリ科植物など、数種類の植物のエッセンスに含有されるDiallyl Sulfde、allyl Isothiocyanate、 6-gingerol、Shogaol、Lycorine、Galanthamine等の殺線虫効能を検証した。その結果、以下の事が明らかになった。 1) 水中の線虫に対する防除効果について基礎試験を実施した結果、ユリ科植物のエッセンスに含有されるLycorineは線虫防除に有効であり、特に濃度10%処理区、20%処理区では100%の線虫不動化率を示し、高い殺線虫効果があることが確認された。 2) ユリ科植物のエッセンスに含有されるLycorineを用いて、土壌中の線虫に対する防除効果を調査した結果、0.25ml/20g処理区でほぼ100%の線虫死亡率を示した。 そこで、さらに処理量を減らして効果を確認したところ、0.10ml/20g処理区、0.05ml/20g処理区、0.025ml/20g処理区でも高い殺線虫効果がみられた。これらの結果より、ユリ科植物のエッセンスが殺線虫効果を示す限界処理量は、0.010ml~0.025ml/20gの間にあると推定された。 3) 生姜のエッセンスに含有される6-gingerol、Shogaolについても水中ならびに土壌中の線虫に対する防除効果が高いことが明らかになった。特に本成分は植物寄生性線虫への強い殺生力が認められた。
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