研究課題
本研究は、畜産を核とした稲作・畑作との資源連携による土壌生態系や食の安全性を重視した「持続農業」の実現をねらいとし農畜産廃棄物(家畜排泄物+作物残渣)の再資源化の技術開発に挑戦するものである。最終年(3年目)として次ぎの4課題を実施した。(1)家畜液肥による畑作物の栽培実験とその連作障害防止効果の解明(3年目):連作長ネギ畑に豚尿液肥を散布した結果、無散布に比しその肥培効果および病害抑制効果を再確認できた。これは豚尿液肥の主成分であるカリウムによる「根肥え効果」が発現したためと推察される。また長ネギ萎凋病の主因となる糸状菌(Fusarium)をPCR法とFISH法とにより探索したところ、散布土壌と無散布土壌とで糸状菌の密度差はなく、さらに林地土壌に比べ長ネギ土壌のほうがその密度は僅少であった。農薬が糸状菌の密度に大きな影響を与えていることわかった。(2)野菜残渣の家畜飼料化:青森県の野菜残渣処理で問題となっているナガイモ残渣を粉末化し、これを豚の飼料に重量比5%区分で0~15%添加したところ、添加により肉質がやわらかく旨みが著しく増大、5%添加区が最適であることがわかった。(3)地域農業における現存および潜在農畜産廃棄物の再資源化システムの構築:青森県上十三地域において、豚尿汚水から作出された液肥を農地還元できれば、同地域で飼養される成豚(約250万頭/年)から排出される豚尿汚水の約70%を農地に有効利用できることがわかった。また同地域のナガイモ残渣(約3千t/年)を粉末化し、その全量を豚の飼料に添加できうることも判明した。これより豚尿汚水から作出する「液肥」を核として養豚農家と畑作農家との循環型農業の実現の可能性がでてきた。(4)成果のまとめ:3年間の成果をまとめ、この一部を国際会議で発表した。さらに、報告書を作成し、成果を学術雑誌やインターネット上などで公開する。
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Proc.of 34th CIOSTA & CIGR 5th Conference 2011 held in Vienna, Austria
巻: (Light Reviewed)(CD-ROM) ページ: 1-7