研究概要 |
本研におけるロボットシステムは,収穫作業で分断される生育環境に関わる情報と農産物の品質・収量に関わる情報をリンクし,一貫したトレーサビリティを構築するものである。人間が運転してレール上を移動しながら果実収穫を行うと同時にマシンビジョンによる品質評価を行い,その評価結果と収穫した株の情報を保存する。これまでに各構成要素の基礎実験はほぼ完了しており,今年度はロボットシステム全体の試作と改良を主に行った。試作したロボットの動作としては,人間が収穫した果実をロボットのターンテーブルに投入するとフォトセンサが反応し,新たに果実収穫が行われたことを感知する。各株にはあらかじめICタグが装着されており,フォトセンサの反応と同蒔に収穫された株のIDをロボットに搭載されたアンテナを介して検出する。果実が任意の位置まで回転すると,マニビュレータが把持し,ロータリバケットまで搬送し,マシンビジョンによって2方向(果実の表裏)からの画像入力を行う。入力画像から果実の長さ,幅,曲がりなどのパラメータを算出する。その後,果実は2段階(規格品,規格外)のカテゴリに分類されたコンテナへ仕分けされる。果実の収穫場所と品質評価結果は,データベースとして保存される。 温室内での基礎実験の結果,ロボットの各構成要素は良好に作動し,ICタグによる株の特定も正確に行われた。今年度,マシンビジョンで用いたパラメータはシンプルなものであるため,次年度は果実の特徴を詳細に表現するアルゴリズムを検討する。
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