施設園芸のための生産ソフトウェアを構築し、環境制御システムに連携させる目的で、低コストで自律分散型の新しい環境制御システムであるユビキタス環境制御システム(UECS、http://www.uecs.info/)を用いた、ソフトウェア開発のための基盤的開発研究を実施した。まず、生産支援ソフトウェアなどの植物生産に関する各種応用ソフトウェアへの情報入力の形式を標準化し、1作の植物性生産の全ての情報を一つに集約が可能な、植物生産情報交換規格(BIX-pp、http://w3.fb.u-tokai.ac.jp/bix-pp/)の形式に、UECSで扱われている環境計測制御に関する情報通信パケット(CCM)を変換するソフトウェア(BixFromUecsConverter)をWindowsアプリケーションとして開発した。そして、対象施設として、長野県でイチゴの周年生産を実施している園芸施設であるこもろ布引いちご園に本ソフトウェアを設置し、動作試験を実施した。その結果、気温、湿度、暖房機稼働時間などのコスト計算や環境診断の情報をBIX-ppに変換でき、それをBIX-pp用のアプリケーションソフトウェアを使って処理可能なことが確認できた。これにより、施設園芸の生産現場でUECSを動作させるだけで、別にデータロガーなどの情報収集機器を必要とせず、LANに接続したパソコンにより植物生産環境等に関する情報の収集が容易かつ自動的に収集可能になり、それらの情報を、他の生産量・労務などの情報と統合して環境制御に活用できる総合的な施設園芸生産ソフトウェアの構築が可能になった。今後、さらに開発ソフトウェアを改良し有用性を高め、Webページで公開し、提供するなど、開発した技術の普及を推進したいと考える。
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