施設園芸のための生産ソフトウェアを構築し、環境制御システムに連携させる目的で、低コストで自律分散型の新しい環境制御システムであるユビキタス環境制御システム(UECS、http://uecs.jp/)を用いた、ソフトウェア開発のための基盤的開発研究を実施した。昨年度開発した、植物生産情報交換規格(BIX-pp、http://w3.fb.u-tokai.ac.jp/bix-pp/)の形式に、UECSで扱われている環境計測制御に関する情報通信パケット(CCM)を変換するソフトウェア(BixFromUecsConverter)について、本年度は、実用化という観点から動作検証を実施し、いくつかの改良を加えた。本ソフトウェアの機能を含んだUECS用アプリケーションソフトウェアは、ユビキタス環境制御システム対応ハウスモニタとして平成23年度の市販が予定(http://www.hortplan.com/products_soft.html)されている。また、ハウスモニタから出力されたBIX-pp形式の時系列データについて、複数の組み合わせ条件が合致した部分を図示するBixEnvionmentMakerをJavaアプリケーションソフトウェアとして開発した。たとえば、相対湿度95%以上の状態が6時間以上継続し、気温が15℃以上20℃以下の条件を指定すれば、作物に病害発生の危険がある環境条件を図示すしたり、PPFが100μmol m-2 s-1以上で気温が15℃以上を示すことで、光合成による物質生産可能な条件を図示したりできるようになった。このソフトウェアにより、環境が植物生産に与えると予想される影響を可視化することができるようになり、各種の判定条件をデーターベース化すれば、植物生産現場で生産者が有効に使用できるソフトウェアになると考える。
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