研究概要 |
本研究は、放牧地にネットワークカメラを複数設置してこの画像を無線LANで基地パソコンに送信し,自動追尾方式を利用した移動体認識・解析システムによる行動解析の可能性を検討することによって集約放牧における放牧乳牛のFSレベルでの移動軌跡と植生との関係を明らかにすることを目的とした。昨年度の実験では、自動追尾方式を確立するため高精度のディフェレンシアルGPSを用いて放牧乳牛の移動軌跡を詳細に解析した。その結果、フィーディングステーションレベルでの放牧牛の放牧地における位置を同定することが可能となった。しかし、現在までの解析手法では無線LANネットワークカメラとの画像と位置情報の対応は成功していない。今年度は、カメラの設置位置などの検討を行い、無線LANカメラからの画像から位置情報を同定できる解析手法をさらに検討するとともに、放牧地面積および頭数を変化させたとき時の移動軌跡の実測を行った。試行錯誤の結果、カメラの設置状況によってカメラ画像から位置データを同定できる可能性が示唆された。面積の異なる放牧区(1haと0.5ha)にそれぞれ,5頭の乳牛を放牧した場合(実験1)、および面積が一定(0.5ha)で乳牛の放牧頭数が異なる場合(10頭と5頭)の場合(実験2)のそれぞれについて、カメラ画像からの位置同定を試みた。放牧密度が異なる条件および放牧面積が異なる条件のいずれにおいても、牛の位置情報を経時的に取得することができ、移動軌跡を把握できた。以上の結果から、自動追尾方式を利用したシステム構築の可能性が示唆されたが、カメラ台数および基地パソコンでの画像統合処理等の精度向上については今後の課題である。
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