目的:平成22年度の試験では、孵化後飼料給与条件(給与開始時間)を用いた試験系すなわち、孵化後すぐ、24時間、48時間後に飼料給与を開始する。そして免疫機能・応答が成熟する第一段階である4日齢時と第二段階である7日齢そして14日齢以降で自然免疫担当細胞が多く存在する組織器官(ファブリシュウス嚢・腸管)を採取し、獲得免疫に関わるサイトカイン発現量そして自然免疫に関わるサイトカイン発現量を測定し免疫系に対する飼料給与開始時期の影響について検討し、機能・応答の数値化と標準化の基礎データー得ることを目的とした。 結果:(1)4日齢時と、7日齢そして14日齢のメッケル憩室付近(小腸中間部)の獲得免疫、自然免疫そして菌体成分受容体関連mRNA発現量は、孵化後24時間からの飼料給与が、孵化直後や孵化後48時間後の給餌より、統計的高いか、高い傾向にあった。(2)T細胞数の指標であるCD3、リンパ細胞やマクロファージ活性化に関与するインターフェロンγ、リンパ機能調節型のインターロイキン-10、菌体成分受容体のトール様受容体 mRNA発現の変動が大きかった。(3)14日齢のファブリシウス嚢の獲得免疫、自然免疫そして菌体成分受容体関連mRNA発現量は、孵化後24時間からの飼料給与が、孵化直後や孵化後48時間後の給餌より、統計的高いか、高い傾向にあった。特にリンパ細胞数にかかわる因子のmRNA発現の差は有意であった。 結論:孵化後の飼料給与開始時期が腸管免疫変動にかかわる因子であることを明らかにした。孵化後24時間付近の飼料給与開始は腸管免疫の発達に有効考えられた。
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