研究概要 |
1.ポット栽培の矮性ネピアグラスにバイオガスプラント産生有機物発酵消化液(LDEM),堆肥にLDEMを添加・調製した高濃度固形堆肥(SDEM)および化成肥料を施用し,植物体の成長特性に及ぼす影響を検討した。堆肥施用量が増すと,草高,茎数,葉面積,乾物収量が増加した。地上部重/地下部重比が約2未満と低く,地下部への乾物分配率が高い。LDEMとSDEMはともに,化成肥料に類似した肥料効果を有するが,LDEMの増収効果が高くなった(論文1)。 2.南九州の宮崎,熊本,鹿児島3県の離島を含む12調査地点で綾性ネピアグラスの適応性を,土壌特性,植物体の成長形質,飼料の収量と品質および越冬性に関し,2か年間調査した。乾物収量は,地域間差異が0.2~15.8トン/haで,N施用量との間に有意な正の相関があり,土壌の肥沃度や雑草防除の影響も認められた。In vitro乾物消化率と粗タンパク質含量は,各々56~76%,6~18%の範囲で,後者は刈取り間隔との間に負の相関があり,繁殖雌牛飼養にとっての限界値を下回る場合があり,矮性ネピアグラスのみの給与では,施肥量を年間150kgN/ha以上に挙げる必要がある(論文2)。 3.楼性ネピアグラスの栄養繁殖効率向上のため,短日およびジベレリン散布の節間伸長促進および分げつ芽の成長促進・充実に及ぼす影響を調査した。短日処理は7月上旬処理で最も効果的で,8月下旬の草高,下位~中位節位の節間長が増加し,苗生産時の節間切除を容易にし,分げつ芽長の増加が分げつ芽の充実をもたらし,通常の栄養苗生産期(10月下旬)に比べて約2ヶ月早進化できた。ジベレリン散布処理は,下位~中位の節間伸長と下位節着生分げつ芽の発根促進により,分げつ芽充実に効果があった。分げつ芽の直径は,分げつ芽の充実度(発根性,萌芽性)と相関があり,充実した栄養苗確保の有効な指標となった(論文3)。
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