研究概要 |
平成8年度に研究代表者が導入した新規暖地型牧草・矮性ネピアグラスの九州地域への普及を促進させるには,栄養繁殖の矮性ネピアグラスの特性を生かし,安価な苗の供給体制の整備と移植機を利用した省力的・軽労働な移植方法の開発が必須と考えられる。 1)本研究の第1の目的として,矮性ネピアグラスの効率的な栄養繁殖法と苗の安定的な供給体制の確立を図るために,平成22年度に温室内で保存し降霜害を受けていない個体を用いて,平成21,22年度に引き続き,地上部の節から再生する分げつを用いて栄養繁殖苗を養成した。そして,南九州地域へ供給することにより,本牧草種の南九州地域への普及促進の一助とした。この方法と,晩秋にセル苗を準備して温室内で越冬させ翌春圃場に定植する方法とを比較することにより,越冬期間中の潅水やハウス面積の大幅な削減効果を明らかにし,個々の生産者で対応可能な技術であることを実証した。(雑誌論文2,学会発表2,3,図書1) 2)本牧草の苗を,大分県農林水産研究指導センター畜産研究部の指導により,大分県三重町の飼料畑約45 a (0.45 ha)に移植し,放牧利用に供した。そして,小規模肉用繁殖牛農家において,矮性ネピアグラスの放牧利用による家畜飼養が可能であることを実証した。(学会発表2) 3)重金属汚染土壌の環境修復機能としてのネピアグラスの潜在的能力を,カドミウム汚染土壌ならびにカドミウムを投与した水耕実験により検証した。(雑誌論文3,図書2) 4)矮性ネピアグラスの移植後の省力的で有効な雑草防除方法として,ペーパーマルチの矮性ネピアグラスの収量性ならびに越冬性に及ぼす効果を確認した。(雑誌論文1,学会発表1)
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