研究課題
生態系の炭素貯留能(CO2固定能)は生態系タイプによって異なり,地域や気象要因によってさまざまに変動する。2013年以降のポスト京都議定書において,森林に加えそれ以外の生態系の炭素貯留能も重要視されることを想定し,半自然ススキ草原を対象として,炭素貯留に対する環境要因の作用メカニズムを明らかにすることを目的として4年間にわたり研究を行った。測定項目は,葉面積指数(LAI)(全天写真法,プラントキャノピーアナライザー(PCA)法,NIR/PAR比法),自動開閉チャンバーと通気法による土壌呼吸(Rs)速度,環境要因(光環境,気温,5 cm深地温,土壌水分),および土壌微生物のバイオマス(生菌数)と組成である。全天写真法による撮影と同時に,地上3m高に下向きに設置したカメラ(地上カメラ)によって草原全体の様子も撮影した。冬期の積雪は,地温の変化と地上カメラの画像から,年によって3月下旬から4月中旬にかけて消雪した。全天写真法によるLAIから,葉群は5月下旬に成長開始し,6月から7月にかけて盛んに成長し,8月上旬に最大に達し,9月以降に衰退した(葉の黄変・褐変,萎凋・脱落)。全天写真法とPCA法は枯死葉を十分に判別できないため,NIR/PAR比法によるLAI推定法を比較したところ,落葉広葉樹林では展葉から落葉までを高い精度で捉えられる(Kumeら 2011)のに対し,本草原におけるLAI推定精度は成育期間前半は高く,後半は低かった。5 cm深地温に基づく年間Rsは3.1~3.8 kg CO2 / m2,土壌従属栄養生物呼吸は2.0~2.5 kg CO2 / m2であった。土壌微生物の生菌数(蛍光顕微法,結果は数億生菌/g乾土)および組成(PCR法)については,両者ともに試料間差はあるが季節変化は小さかった。これらの結果を関数化し,とりまとめている。
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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