研究概要 |
平成23年度の研究結果は以下のとおりである。 1.ブタ卵における中間径線維ビメンチンの分布変化 免疫抗体法によるビメンチンシグナルは,卵核胞(GV)期卵では大部分の卵(73.3%,n=52)で微細な粒子状として細胞質全体が均一に分布しており,卵核胞内にも認められた。第一減数分裂中期(MI)ではほとんどの卵で細胞質全域に亘って網目構造が形成されていた。第二減数分裂中期(MII)では表層の網目構造が不明瞭となり,ビメンチンが細胞膜直下約10μmの層状に集中していた(89.1%,n=76)。 2.ブタ卵における中間径線維ネスチンの分布変化 ブタ卵母細胞におけるネスチンがGV期(n=48)から出現し始め,ネスチンの特異的な構造がMI期(n=42)に出現し,MII期(n=65)にかけて分布が拡大した。 3.ウエスタンブロット法によりハムスター卵におけるケラチンの同定と濃度変化を明らかにした。 4.細胞骨格の維持に対するRhoキナーゼ阻害の影響 ・マイクロフィラメント形成への影響:Rhoキナーゼ阻害した卵母細胞のマイクロフィラメントの染色性が低下した。また,第1極体の放出が抑制され,卵丘細胞の膨化も阻害された。 ・微小管形成への影響:Rhoキナーゼ阻害剤で処理した卵母細胞において紡錘体の形成には影響は全く認められなかった。 ・中間径線維形成への影響:中間径線維のうちネスチンについてRhoキナーゼ阻害処理を施したが,ネスチンの分布には影響が認められなかった。
|