研究概要 |
特定の遺伝子機能が破壊されたいわゆるKOブタ個体を作成するには、マウスの場合と異なり、in vitroでのホモ(double)KO体細胞の作成、その体細胞核移植という経路を辿る。ブタの場合、ホモKO細胞の作成は、その後の実験のスピードを左右する重要な問題である。ヘテロKO細胞由来の個体に比べ、2年ほど実験時間が短縮されるからである。ホモKO体細胞の作成に至る種々の条件(薬剤耐性性等)が不明故、基本的な問題を検討した。その結果、ミニブタ胎仔性繊維芽細胞は、G418, puromycin, blasticydine S, hygromycin B, zeocinといった様々な薬剤に感受性があった。各薬剤耐性遺伝子導入細胞への高濃度薬剤耐性を調べた結果、G418、zeocinを除く他の薬剤では、濃度を高めることで、組換え細胞の死滅が誘導された。このことは、targeting vectorを導入されたヘテロKO細胞(片方のalleleに乗る遺伝子のみが破壊)に再度targeting vectorを導入し、高濃度の薬剤で細胞を選別すれば、ホモKO細胞が取れることを示唆する。現在、puromycin, blasticydine Sへの耐性遺伝子を内蔵したtargeting vectorを作成し、ホモKO細胞取得の可能性を検討している。
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