本研究はTGF-βスーパーファミリー結合蛋白質であるフォリスタチンファミリー蛋白質の性状解析と、そのリガンド結合部位であると考えられているフォリスタチンドメインの構造を基にしたTGF-βスーパーファミリー阻害剤の開発を目的としている。フォリスタチンファミリーに属するフォリスタチンとFLRG蛋白質は、それぞれ3個および2個のフォリスタテンドメインをその分子内に含む。これまでの研究では、フォリスタチンとFLRGは両者とも主に第二フォリスタチンドメインを介してリガンドに結合していることを明らかにした。一方、FLRGの第二フォリスタチンドメイン単独ではアクチビンの生物活性が抑制できないことも確認された。本研究を行うに当たり、フォリスタチンファミリー蛋白質の生物活性を評価する簡便な系が要求される。これまでは、TGF-β/アクチビン/マイオスタチン反応性レポーターコンストラクトであるp3TP-luxを一過性にトランスフェクションした細胞を用いてフォリスタチンファミリー蛋白質の生物活性を評価してきたが、21年度の研究では、レポーター遺伝子を恒常的にトランスフェクションした細胞株や、レポーター遺伝子とアクチビン発現ベクターまたはマイオスタチン発現ベクターを同時にトランスフェクションした細胞株を樹立し、内因性および外因性アクチビン/マイオスタチンに対するフォリスタチンファミリー蛋白質の阻害作用を簡便に検討することのできる系を確立した。この系を用いてフォリスタチンとFLRGの生物活性を評価したところ、フォリスタチンは内因性と外因性のいずれの経路においてもアクチビンとマイオスタチンの作用を阻害するのに対し、FLRGの場合には外因性の経路においてのみ、アクチビンとマイオスタチンの作用を阻害することが明らかとなった。
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